ウチの猫、若い頃は何でも食べた
我が家の猫たちは若い頃から良く食べました。特に長男はかなり食べてもいつも物足りない様子で、弟妹の分まで横取りして食べるほどでした。よく食べるから大きくなるのか、身体が大きいから維持のためにたくさん食べる必要があるのか…
我が家は生後半年くらいから、ロイヤルカナンのヘアボールコントロール&ライトという、繊維質多めの低カロリーなドライフードが主食でした。このフードは10年以上も継続して与えていました。シニア期に入るまで病気一つしなかったのです。ただ、シニア期に入る7~8歳の時点で、キャットフードの中身、特にタンパク質の含有量にもっと注意を払っていれば、猫たちの腎臓機能低下も遅らせることが出来たかもしれません。
確かにタンパク質は身体を作るのに必要な栄養素ですが、猫の年齢や暮らし方によっては腎臓に負担をかけてしまうものなのです。
長寿命化による慢性病の増加
野良猫の平均寿命は3~5年とされていますが、一方で家猫の平均寿命は15年ほどにまで伸びてきました。外猫の環境はいかに厳しいものかと思い知らされますが、家猫の長寿命化は医療技術の向上の他にも、キャットフードの品質向上があげられます。
昔は「猫まんま」などと、残飯に鰹節やみそ汁をぶっかけたものを餌として与える習慣があり、今考えれば、肉食の猫がよくぶっかけ飯を食べてたもんだと驚きますが、味の濃さ、特に塩分の多さという点では猫にとっては恐ろしくジャンクフード。そりゃ長生きできませんな…
飼い猫が長生きになったのは喜ばしいことですが、高齢になった猫の病気で多いのは、心臓や腎臓に抱える慢性病と腫瘍だと言われています。肥満に気を付けることで心臓への負担を減らすことが出来ますし、肥満はフードでかなりコントロールできます。しかし、高齢猫の多くが罹患するのが腎臓病なのです。つまりは、猫の腎臓機能低下が避けられれば、もっと長寿命化する可能性があります。
猫が元気に長生きしてもらえる可能性が高まるのが、食餌で腎臓への負担を減らすアプローチでしょう。
私が猫と暮らし始めた18年前に比べて、キャットフードは品数も増え、品質も性能も上がり、飼い主のフード選びとしては各段に選択肢が増えています。基本的には同じものを安定して食べてくれた方が猫の健康には良いとは思うのですが、年齢ステージに応じて腎臓の負担を減らし、肥満をさけて元気に暮らせるキャットフードを選び、猫を元気に長生きさせるコツだと思います。もちろん、定期的な健康診断も併せて!
高齢猫には低タンパク質フードに!
歳をとれば、運動量も減り、筋肉量も減ってきます。よって若いころには食べられていたフードも、場合によっては内臓へ負担をかけてしまいます。
老猫・高齢猫に要注意なのはタンパク質。タンパク質は、食べたらそれがそのまま筋肉になるわけではなく、アミノ酸に分解される必要がありますが、その際に身体には有害なアンモニアが発生します。そしてそのアンモニアが分解されたものが尿素窒素(BUN)になります。本来ならば、BUNはオシッコと一緒に排泄されるものですが、腎臓での濾過が不十分だと体内に留まり、血中のBUN濃度が高くなるといわゆる腎臓病の症状が出てくることになります。そのため、BUNを下げるために、腎臓をサポートするキャットフードは低タンパク質です。腎臓病が多くなるシニア向けフードもタンパク質は少ないものが多いです。
人間だってデスクワークしかしないのにプロテインを過剰に摂るとカラダに良くないんすよ。
ちなみに、BUNは食べたもので増減しますので、高タンパクなフードを食べるとBUNは上がります。一方、クレアチニン(Cr)は食べ物の影響を受けません。
我が家にあるロイヤルカナンのドライフード各種で比較したところ、栄養分析値におけるタンパク質の表示は以下のようになっています。
- ヘアボールケア(総合食) 32.0%以上 376kcal/100g
- エイジング12+(総合食) 28.0%以上 408kcal/100g
- 腎臓サポート(療養食) 21.0%以上 392kcal/100g
ご覧のように、療養食の腎臓サポート食は思い切ってタンパク質をカットしていることが分かります。この腎臓用の療養食を文句言わずにポリポリ食べてくれるとなんの問題も無いのですが、
食 べ な い … !
腎サポ食は、食いつきが悪いというのは猫友からもよく聞く話です。というのも、原材料を見ると納得なのです。
ほとんど穀物で出来ていると言って良いほどです。ステーキとフライドチキンで育ってきたようなアメリカ人に、急に毎日を精進料理で過ごせと言っているようなものです…。ましてや相手は猫様、話せばわかる相手ではありません。事実、我が家の場合、タンパク質が多いフードほど食いつきが良い傾向が強いのです(涙)。身体に良いものが美味しくないってのは、人間においても往々にしてあることですし…。
時によっては頑として腎臓サポート食を食べない時があります。カリカリが入ったお皿をくんかくんかと嗅いで、お皿とこちらを交互に見ながら、
「僕はお坊さんじゃありませんよ。お魚かお肉をください」
と眼で訴えてきます。きょうび、お坊さんだってお肉食べますもんね。
そこで、いかに腎臓サポート食をたくさん食べてもらえるように、各種のフードをフリカケとして混ぜるか、ブレンダーのスキルが必要になってきます。我が家では、料理には滅多に使わないデジタルスケールを猫用ゴハンには毎回使います。
最終ステージは食べてくれることが大事に
我が家の次男猫、18歳。先月は食欲が廃絶して、一時は覚悟せざるを得ない局面もありました。食べ物を受け付けない猫を見るのも、減っていないゴハンのお皿を片付けるのも、飼い主にとっては本当にツライ時間です。
幸いにも、食欲は回復し、輸液と投薬の効果もあってか体調は安定しています。尿量は多いのですが、日々の自宅輸液で補って体内水分量のバランスをとっています。しかし、皮下点滴では水分は補えても栄養を摂らせることは出来ません。栄養は食べてもらう必要があります。そして悲しいことに、彼が食べたいものと私が食べさせたいものが違います。
双方が折り合えるように、今日も私はカリカリのブレンダーとして、腎サポを主食としたカリカリをいかにたくさん食べてもらえるかを考えて混ぜ混ぜしています。以前に比べて腎サポ食の割合を増やしています。
ただ、食欲が増すなら煮干しだって使います!
腎サポ食と煮干しって全然よろしくないのですが、もうこの歳になると食べなくなるのが一番良くないので…高齢猫、老猫は「食べてくれること」も重要な要素になります。
万猫が喜んで食べる腎臓サポート食のカリカリがあれば、バカ売れすると思うんだけどなあ…猫はさらに長寿命化するし…ペットフードメーカー各社にお願いしたいのは、さらに美味しい腎臓サポート食のドライフードの開発を!
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