「中直り」現象=エンジェルタイム
終末期医療では「なかなおり(中直り)」という言葉があるそうです。辞書によると以下のような記載があります。
(中直り)死期が近づいたとき、病状が一時的に小康状態になること。
出典: goo辞書
欧米では、”The end of life rally”とか”last rally”と言うそうです。「人生最後の回復」、消える蝋燭の最後にひときわ明るく炎が輝く時ですかね。
身体が「死を迎えようとしているとしているな…」と感じた時、脳が「幸せホルモン」分泌量を増やすことで痛みや死への恐怖を和らげようとすると言われています。人間でももう意識が無かったような人が急に目覚めて近親の方に挨拶をしたり、これまでなにも食べられなかったのに急に好きなものを食べたいと言ったりするのもこの「中直り」現象の一つと言われています。よく聞く「亡くなった〇〇さんが来た」というのもそうかもしれません。脳のなかは幸せホルモンがいっぱいなワケですから幸せに感じさせてくれる体験を幻覚とかで見せてくれるのでしょう。
そう言えば長女猫も寝たきりになった後も急に立ち上がれるようになったり、長男猫も亡くなる数時間前にカリカリを食べて私を喜ばせたんでした…
2年前のこの時期、血液検査とエコー検査で次男猫はもう長くないことは明白でしたので、2年前の今日は、もう好きなことをやらせようと大好きだったおかかや煮干しの盛り合わせ(慢性腎臓病には完全なNG食!)を出したところ、美味しそうにムシャムシャ食べています。この時から「これからの残りの時間はエンジェルタイムだ!」と思ったことを今でもよく覚えています。
この時期、次男猫と私とは言葉は通じないながらもお互いの意思が通じるようなそんな不思議な感覚がありました。
数日続いたエンジェルタイム
お互いに「もう頑張らなくていいね!」と思いあった数日間でした。
残念ながら次男猫は尿毒素が身体をまわってお腹を下して嘔吐することが増えたため、水が貯まらない程度に補液をしながらの生活でしたが、相変わらずベランダに出たり風呂場の浴槽の蓋の上でご機嫌に過ごしていました。身体に力が入らなくて倒れたり、痙攣を起こしたりということもありましたが、基本的には自分でお気に入りの場所に行って過ごし、夜は私の枕元で寝ていました。日に日にゴハンが食べられなくなっていったので「蝋燭が消える日」は近いとは思っていましたが、変な話ではありますがとても幸せな気分を感じていました。愛猫が幸せそうだったからでしょうか、それを見ているこちらも幸せな気分になっていたのかもしれません。
亡くなる前日の夜、フラフラと自分のお気に入りだった場所に歩いていってぐるりと見回し、また次の場所にフラフラと歩いて行って…という姿を見て「ああ、この家とお別れしてるんだな」と思いました。この行動で分かる通り、次男猫は最後の最後まで意識はしっかりしていたようです。
我が家の歴代猫でもっとも賢くもっともスマートだった次男猫でした。
命日はいつも切ない
猫を看取った経験のある方は皆さんそうだと思いますが、命日は特に切なくなります。
忙しい時に邪険にしたことを後悔したり、もっと早く治療に入っていればと自分を責めたり、もっと良い治療があったのではないかと悔やみ、次男猫がこの手のなかで看取りましたが長女猫・長男猫とは十分にお別れの挨拶が出来なかったことは痛恨の極み…!
しかし、猫さんは猫さんのタイミングで旅立つと言います。また、看病・介護も多くの猫飼いさんはその折々でベストであろう判断をされて目一杯尽くされたことと思います。旅立つ猫さんたちはきっと幸せホルモンを脳内いっぱいにして旅立ったことでしょう。
そして猫好きな方には、「もう悲しい思いはしたくないから猫はお迎えしない」などと言わず、また新たな猫ライフを送ってほしいと思います。ご自身を責めたり後悔したりするお気持ちは、次の猫さんに尽くすことで癒やされることもあります。
とは言いつつ、命日はやっぱり切ないのです。
今の姫ちゃんはホントに良い猫です。三兄妹に似ているところもたくさんあります。
それでも三兄妹それぞれにはやはりそれぞれ長所があり、それを思い起こすと切なくなるのです。
いつかまた会える
自分がもう”The end of life rally”の段階になったらきっと三兄妹は迎えに来てくれると思うのです。しかも、一番元気な状態の三兄妹の姿で。脳内の幸せホルモンが見せてくれる幻覚なのですから、ひょっとすると言葉をかけてくれるかもしれません。そのままみんなと虹の橋を渡ってしまうかも…
でも、そう思うとちょっとその日が待ち遠しかったりします。
その日がいつになるかはまだ分かりませんが、現世では悔いのない日を過ごしていかねばなりません。まだまだ姫ちゃんのことはよく分かっていないところもありますので!
コメント
思い出しますねぇ…
次男君が寝たきりから復帰した時にはホント嬉しかったです。
こんなことってあるんだ!と希望が持てました。
全ての経験が姫ちゃんに受け継がれて健康で長生きしてくれる事を祈ってます。
猫乃三時さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
あれは凄かったですね…かかりつけ医も「え…うそ?」みたいな反応でしたから(笑)。
私は殿が最後までゴハンを食べていたのを見て羨ましかったですよ。
無猫生活中、あの4コマ漫画にどれだけ救われて、
そして新たに猫を迎え入れる後押しをしてくれたのです!
姫ちゃんはお口に多少の問題がありますが、それ以外はメンテフリーです!
たけBLOGさん、以前よりTwitter拝見させていただいてました。
記事読ませてもらい号泣
私も3兄妹猫と暮らし、長男猫を8才で突然死で亡くし昨年姉妹のミーを17才で看取りました。
生きてるのが不思議な状態から奇跡の復活を遂げ1年間過ごしてくれた長いエンジェルタイム。感謝しかありません。
今、残された最後の子がもう6日も食べず、昨日から動けない位の状態に…検査しても原因は解らず老衰?昨年相棒の姉妹を亡くした後は半年間おかしくなり痩せ、ようやく平常に戻った感じだったのですが…
そんな状態の中のこのお話と虹の橋のお話は心に突き刺さりました。
素晴らしいお話、ありがとうございます!
動けない彼女に必死に、まだお別れしたくない!頑張って!とお願いしてるダメな私です。
chiemibjcさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
不安で胸が張り裂けそうな日々をお過ごしのこととお察し申し上げます。
次男猫も長女猫と長男猫が逝ってからは兄妹ロスがあったようです。
https://takepn.com/%e3%80%90%e7%8c%ab%e3%80%91%e3%83%9a%e3%83%83%e3%83%88%e3%81%ab%e3%82%82%e3%83%9a%e3%83%83%e3%83%88%e3%83%ad%e3%82%b9%e3%81%8c%e3%81%82%e3%82%8b/
その子もきっとchiemibjcさんのことを思って頑張ってくれているのではないかと思います。
次男猫は最後はかなりボロボロになってしまい、「頑張れ」とは言えなくなりました。
猫さんは猫さんのタイミングで旅立ってしまいます。
その日は暫しのお別れで、いつかchiemibjcさんが旅立つ時にきっと迎えにきてれますよ!