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【猫】獣医師から愛猫の腎臓が弱ってきていると言われたら

1 猫
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猫の慢性腎臓病は長生きの代償

脱水はとにかく万病のもとですからね…気をつけたいものです!動物病院で定期的に検査をしている猫飼いさんも多いと思います。ただ、ある時から、獣医師さんから「腎臓が弱ってきていますね」と言われることが増えてくるかと…獣医師さんは検査結果を見ながら色々と説明してくれると思うのですが、初めての場合は「こんなに元気なのに何言ってるの?」と思われるかもしれません。私もそうでした。「薬やサプリを売りつける気では?」とうがった見方をするかもしれません。ただ、検査結果は嘘をつきません。腎臓の検査結果が前回と違って悪くなっている、複数の項目で悪くなってきている場合は、恐らくは腎臓機能が低下し始めています。慢性腎臓病(CKD)の初期は、検査結果の他には異常がないことも多いのです。

2019年9月の次男猫の結果。マジでヤバい数字でした…

腎臓は、血液を濾過して老廃物をオシッコにする臓器ですが、この濾過するネフロンという器官は、使っているうちに力尽きていき、増えたり再生したりすることのない使い捨ての部位。つまり、使えるネフロンが減ってくると濾過する能力が落ちて血液のなかに老廃物が残ってしまう状態になり、生活に大きな影響を及ぼすことになります。

昨今、家猫の平均寿命は15歳くらいと言われていますが、キャットフードの品質向上や飼い方の改善などにより、猫の腎臓の寿命を超えてきているのだと思っています。長生きしてくれることは喜ばしいことなんですけどね。

ここでは、長命化による慢性腎臓病のお話になりますが、急性腎不全や尿路結石、また、それらからの慢性腎不全化はちょっと違う話になります。

療法食でコントロール

腎機能の低下が認められると、恐らくは獣医師さんから最初に、これまでのキャットフードに代えて、腎臓療法食にするように言われると思います。

本来、猫は肉食動物であり、肉や魚を主原料にした高タンパク質なフードを好みます。ただ、このタンパク質が腎臓には曲者です。タンパク質は消化分解の過程でアンモニアを生成し、このアンモニアは肝臓で尿素に分解され、腎臓で濾過されて尿に排出されるのですが、腎臓が弱ると、この尿素が十分に濾過されずに血中に尿毒素として残ることになります。つまり、血中の尿毒素を減らすには、フードにおける過剰なタンパク質を減らす必要があります。市販のドライのキャットフードの栄養成分値を見ると、タンパク質は35%以上含まれているものも少なくありませんが、腎臓療法食はそのほとんどが20%台です。

 

また、ミネラルの1種であるリン。リンは動物に必須のミネラルであり、一定量以上含まれていないとペットフードの「総合栄養食」の基準を満たせません。ただ、このリンも腎臓に負担をかけるので、腎臓療法食はこのリンも低めに調整されています。ただ、私の経験上、リンなどのミネラルが少ないフードはあんまり美味しくないようで、食いつきが悪くなる傾向があります。低タンパク質+低リンのフードをいかに食べさせるかという猫と飼い主の知恵比べになってきます。

脱水しないよう水を飲ませて

腎機能が衰えてくると、濾過した尿を凝縮して水分を再吸収するという機能も衰えてきます。なので、腎機能の低下とともに、オシッコの量や回数が増えてきます。慢性腎臓病の初期においては、「そう言われれば…」くらいにしか思いませんし、ましてや多頭飼いだと誰の尿量が多いかなどは分かりにくいもの(我が家もそうでした)。慢性腎臓病が進行すると、何度も大量のオシッコをすることになっていきます。

そして、排尿量が増えると、身体が「脱水」してきます。

排尿量 > 飲水量 = 脱水

ごくごく簡単な公式です。個人的に言えば、脱水しないだけ水を飲んでくれれば、慢性腎臓病になってもほとんど生活に影響無いんじゃないかと思いますが、この脱水というやつがとにかく厄介なのです。

脱水すると、身体がしんどくてゴハンも食べなくなれば水も飲まなくなり、気持ち悪さに吐くことが増え、さらに脱水が加速するという悪循環に陥ります。脱水するとウンチもカチカチになって便秘にもなります。

加えて、脱水により濃ゆーくなった血液を濾過することが、腎臓にさらなる大きな負担になり、力尽きるネフロンが増えて腎機能がさらに低下するというダブルパンチに。腎機能の低下が多尿による脱水を生み、この脱水が腎機能の低下に拍車をかけるという負のスパイラルを断ち切るには、「脱水させない」ことが重要になります。

「慢性腎臓病になったかも?」という時期には、とにかく水場を増やしたりするなど水を飲む機会を増やして、猫の飲水量を増大させることに注力すべきかと思います。

体重を維持するのが重要

脱水して気持ち悪い状態が続いていたら、ゴハンも食べないし水も飲まなくなります。療法食は美味しくないし…元気が落ちて活動量が下がると、さらに身体が衰えてくることになります。

腎臓が悪くなってから体重を増やすのは至難の業です。若い頃は勝手に食べて勝手に肥えていったものですが、高齢になって腎臓が弱ってくると、筋肉や脂肪が落ちて痩せていき、そして、なかなか体重は増えません。体調を崩すたびに体重が減って、その後、なんとか体重が戻りつつあるなかで体調を崩してまた体重が減るという繰り返しになります。慢性腎臓病は長い戦いになります。腎臓病初期の間にしっかり体重を維持しておくことはホントに重要です。

最近の市販のシニア食は、療法食ではないものの、低タンパク+低リンというものが増えてきました。腎臓療法食を食べさせるのは大事なことですし、腎臓療法食を食べてくれるに越したことはないが、食べなくて体重が減るくらいなら、こうしたシニア食をトッピングしたり、代替食にしたりして体重と健康を維持するほうが大事なのではないかと個人的には思っています。

早期からの取り組みが大事

初めて愛猫が「腎臓が悪い」と言われても、「元気になれば治るでしょ」と思ってしまうところです。私もそう思ってました…飼い主が知らないことは猫にとって不幸なことです。

腎臓は治りません力尽きたネフロンは再生しません。なので、腎臓を大事に使うことが、猫が元気で長生きしてくれるコツです。そして、猫自身は腎臓を大事にしようとはしてくれません。人間のように、「水をしっかり飲まなくちゃ」とか「食欲が無くても食べなくちゃ」などと思ってはくれないのです。

飼い主が適度に介入し、だましだましでもしっかり腎臓療法食を食べさせ、しっかり水分を摂らせることが重要になります。正直、手間がかかります。面倒です。ただ、腎臓病が末期近づくにつれ、飼い主が出来ることも少なくなってきます。猫ちゃんの慢性腎臓病が初期で元気なうちに、少しずつ取り組みを始めることで、猫ちゃんも元気で長生きしてくれることと思います!

 

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