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【Biz】営業時間短縮は飲み屋に致命傷

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東京都が飲食店に時短要請(3回目)

東京都が11月28日~12月17日で時短要請

東京都は、酒を提供する飲食店などに対し時短要請するとし、その内容は以下の通り。

  • 営業時間を午後10時までに短縮するよう要請
  • 期間は、今週末の28日から12月17日の20日間
  • 全面的に応じた店には一律40万円の協力金

ざっと計算してみます。

    • 20日間全てを営業日とした場合、1日あたり2万円の協力金としての補填
    • 深夜0時まで営業の店舗が2時間を短縮した場合、1日1時間あたり1万円
    • 粗利率30%の粗利補償とした場合、ざっと1時間あたり35,000円の売上補填

店舗の規模や業態に関わらず一律ということなので、一息つけるお店もあれば、足りないよというお店もある(銀座の高級クラブだったら、一人分の客単価に足りないかも…)とは思いますが、協力金支給のスピードを考えて一律としているのでしょう。

協力金では測れない来店客数の減少 来店意欲の減少

先日の記事で、「【Biz】仮想喫茶店でコロナのダメージを試算してみた」で架空の喫茶店における客数減のシミュレーションをしてみましたが、「営業時間の短縮要請」では、お客側の意識の変化というファクターにより、営業時間の減少以上に客数が減るものと思われます。
まず、営業時間の短縮により、単純なる営業機会の減少による客数減があります。単純に、深夜0時まで営業していた店舗が22時で営業終了した場合、この2時間分の客数が減少します。
18時から深夜0時までを2時間ずつに区切った場合、18-20時、20時-22時、22時-深夜0時の3回転となりますが、最後の3回転目が失われ、ざっと1/3の営業機会が失われます。居酒屋やスナックなど、夜のお店は遅い時間が儲け時なので、ここのダメージは大きいです。
それ以外に影響の大きいのは、お客側の来店意欲の減少です。ただでさえ、コロナの感染を意識して外出を控えている方が多いなか、「いつものあのお店は営業してないかもしれない」とか、「このご時世、飲みに行くのもなあ」という、「飲みに出かける意欲」の減少による影響はかなり大きいものと思われます。
「Go To EAT」や「Go To TRAVEL」が一定の成果があったのも、「みんな使ってるから」「みんな楽しんでるし」という意欲の喚起によるところが大きかったと思うのです。
「なんとなく行く雰囲気じゃない」という気持ちの問題は、お店側ではどうしようもないところです。(なので、夜のお店はせっせと営業電話をしてくる…)

粗利率が高いアルコール類の販売減少は利益へのダメージが大

客数減に加えて他にも経営にダメージを与える要因があります。
遅い時間になると、フードの注文よりも酒類の注文が増えます。比較的、粗利率が低いビールやワインよりも、がっつり酔えるリキュールや日本酒、またはちょっと軽めのチューハイやサワーは粗利率が高いのです。夜遅くなるとビール以外が増えますからねえ…同じ価格のフード類よりもアルコール類の方が儲けが多いので、深夜帯の営業時間短縮は、売上よりも利益の減少の影響が大きいんじゃないかな…
売上は利益を生むのに必要ですが、様々な経費は利益から支払うものなので、先日の記事の通り、固定費が払えなければお店は立ち行かなくなります。営業日を減らしたり、営業時間が減ったりしても固定費は減りませんからね…特に家賃。持ち家兼店舗とかでない限り、厳しい冬になりそうです。

すでに居酒屋の閉店は激増している

9月の時点で、すでに居酒屋を中心とした飲食店の閉店は激増しています。テイクアウトにシフトできる店舗は何とかもっていますが、イートイン主体の店舗への影響は明らかです。
何よりこれからの忘年会や新年会という飲食店にとっては何より大事な季節
安定した客数と客単価が狙える時期であり、東京都が現時点では12月17日までの要請としているのは、飲食店向けに忘年会需要を強く意識した設定だと思います。
なんとか、12月中旬には。世の中的に忘年会が心置きなく開催できる状況になっていると良いのですが。

飲食店への影響にとどまらない

これらの影響は、飲食店のみがダメージを受けるわけではありません。食材関連の生産者や問屋、メーカーにも相当の影響があります。
人間、生きていれば食べる必要があるので、外食が無くても食材は流通するわけですが、外食の方が当然、使用する食材の量も種類も多くなります。最近、生産者等が「外食自粛で余った食材を安価に販売したい」とSNSで発信して話題になることも多くなってきました。生産者やメーカーは、通常の年間カレンダーに沿って忘年会・新年会向けの食材を用意していると思うので、これらの在庫が捌けないと、こちらも経営的に大きなダメージになります。
小売りやサービス業では、季節イベントは非常に重要な要素です。
日本では、バレンタインデーは年間のチョコ販売の2割を占めるくらいです…これらのイベントが縮小されると販売者側だけでなく、それを製造するメーカーさんたちもどえらい影響を受けるのです。

未曾有の年末年始…

現状はまさに未曾有といっていいと思います。
3密を避けて「Go To EAT」「Go To TRAVEL」を推進してきたわけですが、原因はともかく陽性者が爆発的に増えている「緊急事態」目前の状態ですので、営業時間の短縮というのは理解できます。
ただ、この状況だと「年を越せない」飲食店や食品関連企業・団体が相当出てくることが予想されます。そして、廃業しちゃったお店は、もとに戻らない
行政としても、費用をかけて消費促進施策を打ったり、支援を行ったりしているわけですが、その原資がもうあまり無いようです。
各自治体や、日本国だけでなく、世界中が未曾有の事態に直面しているという実感があります。どうしたらいいんだろうか…うーむ。個人的には無駄にコロナに感染しないようにするしか貢献できない…

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