前回は、猫さんの腎臓が悪くなってきた時のお話でした。
今回は、個人的には「効いた」と感じたお薬「ラプロス」と、これから世に出るであろう「AIM」についての個人的な見解をまとめます。
猫の腎臓病に効く「ラプロス」とは?
「ラプロス」は、プロスタサイクリン(ベラプロストナトリウム)という血小板の活性化抑制作用と、血管拡張作用のある薬で、人間には「ドルナー」というお薬名で慢性動脈閉塞症や原発性肺高血圧症に処方されるそうです。
この血管を拡張して血流を良くする効果がどうも猫の腎臓にも良いようで、腎臓の血流を良くすることで腎臓内の細胞における炎症を抑えて腎臓を長持ちさせることができるようなのです。腎臓で老廃物を濾過する尿細管がサラサラに流れれば、死滅する細胞を減らせるということだと理解しています。
画像出典:ラプロス®の特徴 東レ
我が家の場合、次男猫の慢性腎臓病がかなり悪くなってから(ステージⅢの中~後期)投与を始めたのですが、安定期に入ってからは投与以前に比べて食欲が回復し、便秘もマシになり、かなりのレベルまで元気度も回復しました。なんというか…粛々と生きるだけだったのが、食べたり飲んだりと生きる意欲が高まったように感じられました。
「ラプロス」投与の注意点
次男猫にはかなり効いた「ラプロス」ですが、実は最初はかなりの副作用が出ていったん休薬しています。
次男猫の場合、激しい嘔吐と下痢でした。次男猫はお腹はかなり頑丈で、何を飲み食いしても下すことなど滅多になかったので、これはヤバいと即座に止めました。あれは尋常じゃない反応でした…
ラプロスの主な副作用としては、以下が挙げられています。
- 嘔吐や下痢の発生:消化器系に影響を及ぼすことがあり、嘔吐や下痢を引き起こすことがあります。
- 逆流性食道炎:逆流性食道炎が発生することがあります。これは、胃酸が食道に逆流し、炎症を引き起こす症状です。
- 呼吸困難や喉の腫れ:まれに、呼吸困難や喉の腫れなどのアレルギー反応が発生することがあります。
- 血圧低下:血管を拡張する作用があるため、血圧低下を引き起こすことがあります。特に高血圧の猫に投与する場合は、注意が必要です。
次男猫は副反応でかなりダメージを負ったため、一か月ほど休んでから超低用量から投与を再開しましたが、今度は副反応もなく、しばらくすると明らかに元気度が増して食欲も出てきました。便秘も改善しました。次男猫には最後の最後まで飲ませてたと思います。
ただ、このラプロスというお薬、お値段が高いのです。
動物病院によってかなり価格が違い、1錠あたり100円から200円くらいとかなり幅があるようですが、1錠150円とすると、朝晩の2回投与で150円/錠×2回/日×30日/月で9,000円になり、処方料とかを加えると1か月あたりで1万円前後になります。
病気でスポット的な出費ならいざしらず、ずーっと月1万円のお薬代となるとかなりお財布には厳しいです。しかし、このラプロスで月間の輸液治療の回数が減るとか、効くか効かないか分からないサプリが減らせるのであればモトはとれるような気がしています。何よりダルそうにしていた愛猫が元気になる姿を見ることができますので考えようによってはプライスレスかも…。
ただ、この1錠150円をぺっぺと吐き出されたりするとなかなかにショックではありました…
期待の新薬「AIM」
以前、東京大学の研究室に寄付が殺到したというニュースがあったことを覚えていますか?
私も少額ながら寄付をしましたが、最終的には3億円ほど集まったそうで、当時は東京大学におられた宮崎徹先生は、今は起業されて「AIM」の薬品開発に向けて取り組んでおられます。
人間も猫もAIMという血中タンパク質は持っているのですが、なぜか猫のAIMは腎臓に老廃物が溜まってもうまく働かずに腎臓病を惹き起こしてしまうそうです。このAIMを活性化させる物質を与えることで、猫の慢性腎臓病を防ごうというものです。現在はフードやオヤツ等で世の中に出ています。
これらはまだ薬ではなく、また療法食でもありません。サプリメントとも言えません。このAIM、現時点では慢性腎臓病に効果があるとも言い切れないところではありますが、飼い猫の慢性腎臓病に泣いた身としては、早く医薬品としての治療法が確立して欲しいと願っています。
2023/4/1開催のインターペット2023で宮崎先生からスゴイ内容の講演があったようで…フォロワーさんが参加されたときのメモがスゴイです。
まとめると、こんな感じ。
- ステージⅢとⅣの間の慢性化、憎悪期と末期の間くらいの猫は通常200日を生きられず、半年くらいで亡くなる
- AIMを2週間に1回、計6回注射したら1~2年経っても亡くならずに元気に過ごせる
- 6回固めて注射をうてば、その後は何もしなくても元気でいられる
- ただし、腎臓病末期の場合は貧血や他の合併症もあるため効果には個体差がある
マジですか…これが実現したらエライことになりますね!研究に期待したいところ。
慢性腎臓病の治療に正解は無い
正直、猫の慢性腎臓病の治療には猫の個体差が大きいこと、飼育環境が千差万別であること、何より腎臓という臓器の寿命であることから正解は無いように思います。モニタリングしながら全身状況が悪くならないようにコンディションを整え続けるということなります。
手をこまねいていると確実に慢性腎臓病は進行しますし、あっという間に悪くなる病気でもあります。ただ、丁寧に対応すれば猫のQOLを保ちながら寿命を長らえることができるケースが多いようです。
残念ですが、どんなに手を尽くしてもいつか愛猫の命は尽きますし、後悔とか悔いは残ります…
愛猫の慢性腎臓病対策としては、若い時からしっかり水分を摂らせることを飼い主が意識して、腎臓への負担を軽くしてあげることが重要かと思います。かつ、腎臓機能が衰えてきたことが分かったら早め早めに手を打つことが肝要です。
個人的には三兄妹の闘病で得たスキルを姫ちゃんには活かしていくべく、姫ちゃんには水場をたくさん用意してあります。
水場は大事!
慢性腎臓病とは腎臓で炎症が起きている状態です…理屈で言えば、抗炎症作用があれば効果があるはず。またシニア猫さんの場合、関節炎を患っていることも多いと思われます。個人的には、慢性腎臓病やシニア猫さんにはモエギイガイのサプリが効いたという経験があります。その中でもモエギタブは通販でも手に入り、価格もお手頃!特にシニア猫さんに広くオススメ。
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