「和の究み 腎臓ガード」を買ってみた
ペットラインさんが販売している「和の究み 腎臓ガード」を療法食のフリカケに買ってみました。以前にお試しした時に食いつきが良かったので。粒が小さく薄いので、噛む力がちょっと弱い時でも飲み物のように丸呑みできるのもメリットです。
いかんせん、我が家で主食としているロイヤルカナンの腎臓サポート食はいずれも粒がデカイ!厚い!おそらく、高齢や腎臓病のせいで、口内炎が起きたりしていると、どうも食べたり、噛んだりする力が落ちるのですが、そういう時はぼろぼろ食べこぼしをして上手く飲み込めないのです。ロイヤルカナンは粒がデカイよなあ…(キトン用を除く)。
ペットラインさんのキャットフードは、猫のステージごとに粒の大きさも違っていて、そういう心遣いがありがたいです。食欲旺盛な猫ちゃんにとっては、食べごたえがある大粒のほうがいいんだろうと思うのですが、慢性の腎臓病だと食が細くなるから小粒がいい…。
スペックを見てみます
主要なスペックを見てみます。療法食のロイヤルカナンの腎臓サポートスペシャルと、同じくペットラインから出されている総合栄養食(ケア食)の「メディファス アドバンス 腎臓の健康維持」とで比較してみます。
製品名/ 要素等 | ロイカナ 腎臓SPL | メディファス 腎臓の健康維持 | 和の究み 腎臓ガード | (参考) ロイカナ 腎臓サポート |
---|---|---|---|---|
たんぱく質 | 24.0%以上 | 24.5%以上 | 27.0%以上 | 21.0%以上 |
脂質 | 15.0%以上 | 17.5%以上 | 14.0%以上 | 15.0%以上 |
粗繊維 | 5.8%以下 | 5.5%以下 | 5.0%以下 | 5.7%以下 |
灰分 | 6.8%以下 | 8.0%以下 | 9.0%以下 | 6.3%以下 |
水分 | 6.5%以下 | 10.0%以下 | 10.0%以下 | 6.5%以下 |
リン※ | 0.43%標準値 | 0.52%標準値 | 0.6%標準値 | 0.31%標準値 |
ナトリウム※ | 0.39%標準値 | 0.21%標準値 | 0.3%標準値 | 0.39%標準値 |
マグネシウム※ | 0.04%標準値 | 0.07%標準値 | 0.09%標準値 | 0.08%標準値 |
100gあたり | 392Kcal | 405Kcal | 360Kcal | 392Kcal |
粒形状 | 三角 中型 厚 | 丸 中型 やや薄 | 丸 小粒 薄型 | 丸 中型 厚 |
【注記】 ※の項目については、筆者がパッケージ記載のカロリーあたりの数値を換算して求めたもの
こうしてみると、ナトリウムは善戦していますが、いずれもスペックとしてはややイマイチで、療法食の代替としては力不足という気がします。
その一方で、総合栄養食であるメディファスの腎臓ケア食は、スペック的にはなかなか良い線を行っていますね。ロイヤルカナンの腎臓サポート(Renal)はかなり尖ったスペックで少々別格という気がしますが、腎臓サポートスペシャルとはかなり競合できるレベルまで行っています。我が家はロイヤルカナンの腎臓サポートシリーズ500gの3種をローテーションで主食に起用していますが、ひょっとしたらメディファスさん(小袋250g)も、たまには先発マウンドに送ってもいいかもしれません。残念ながら、「和の究み」は総合栄養食に比べれば、数値的に配慮はされているものの、腎不全の猫ちゃんの主食にするにはちょっと諸々の数値が高めのような気がします。しかしながら、小粒で食べやすいというのはメリットです。いくらスペックが良くても食べてくれないと意味がないのです。多くの腎不全の猫ちゃんがばくばく食べてくれる腎臓療法食の販売が待たれます!
そもそも腎臓療法食とは
一般社団法人獣医療法食評価センターがまとめている「療法食ガイドライン」において、慢性腎機能低下に対する療法食の要件とは以下の通りです。
A : リンとたんぱく質を制限、高品質なたんぱく質を利用
B : 窒素含有成分の吸収を制限
[少なくともAまたはBのいずれかを満たすこと]
出典 :一般社団法人獣医療法食評価センター「療法食ガイドライン」
ただ、この評価センターで製品が登録されているメーカーが、ヒルズ(米)とロイヤルカナン(仏)、ペットライン(日)とGPN(蘭)のみ。なにやらグローバルな大人のしがらみが色々とありそうなニオイがします(○○社は絶対に入れてやらない、とか)が、まあそれはちょっと置いといて。
ちょっとそういう大人の思惑が見え隠れする団体よりも、こちらの栄養学が専門の獣医師さんの記事の方が面白かったです。
ここで言われているオメガ3脂肪酸については、結構如実に差が出ますね…オメガ3脂肪酸であるEPAやDHAがカリカリにしれっと入っているのは療法食や、レベル高めのケア食が多いようです(お魚系のウェットは、魚油・フィッシュオイルの添加でオメガ3脂肪酸酸が入っていることが多いです)。ロイヤルカナンの腎臓サポートは、穀物やチキン系がメインの食材ですが、オメガ3脂肪酸のためにわざわざ魚油を追加しているっぽいです。抗炎症作用だけでなく、関節にもいいので、老猫には必要です。
ちなみに、メディファスのパッケージを見ていたら、EPAとDHAはしっかり記載がありましたので書かれていたのでやっぱり優秀ですね。その他、「ヨード卵(光)配合」って書いてましたが…効果は…知らんけど。
【追記】ペットラインさんは、母体が「日本農産工業株式会社」という、畜産用配合飼料製造を古くから営んでおられる会社さん。同社では飼料製造の他に、ペットフード事業、そして鶏卵事業を営んでおられますが、同社こそが「ヨード卵(光)」を作っておられるようで…しかも三菱商事系列なので、療法食評価センターにもシレッと入れてるんじゃないかな…知らんけど。
療法食が駄目なら…
猫ちゃんの慢性腎不全、本来は療法食でコントロール出来るのが一番いいのですが、療法食はどうも苦手…という猫ちゃんには、クスリやサプリメントで対応するしかありません。とりあえず、入手が比較的容易で価格が手頃な有名どころは以下のようなアイテムになろうかと思います。
フードに含まれる多すぎるリンの対策は、腎臓を長持ちさせるのには非常に重要です…!腎不全の初期から対策されることをオススメします。リンを腸内で吸着して排出するサプリとしては、カリナール1や、レンジアレンなどが有名です。
吸収されなかった(過剰な)たんぱく質の摂取により発生する尿毒素を低減するものとして、腸内で尿毒素を吸着するサプリとしてはネフガードが有名です。尿毒素を乳酸菌に食わせるタイプはカリナール2などがあります。
これらのサプリメント、基本はゴハン等に混ぜて与えるものですが、味や香りにうるさい猫ちゃんの場合は、フリカケてしまうと途端に食べなくなる場合がありますので要注意です。我が家では粉末のサプリの場合はカプセルに詰めて与えています。
慢性腎不全の猫に効果があるかもしれない(サプリは薬じゃないので効能は言えない)サプリメントはこの他にもたくさんあります。ご自身の猫ちゃんにあうものに巡り会えますように。奥が深いディープな世界ですから…
「お前は○○の回し者か!」と言われそうですが、上記は、あくまでメジャーかつロングセラー製品のご紹介でした!
コメント