健康で長生きしてもらうために
猫ちゃんに対して、「好きなものを食べて好きなように過ごさせてあげたい、嫌がる治療もしない」というお考えの飼い主さんもいらっしゃると思いますし、否定もしません。私自身、猫と暮らす前はぼんやりそう思ってた時期もありました。そんな私が猫の重介護をせっせとやるようになったのですから、人生、分からないものです。ただ、どなたも「猫ちゃんが健康で長生きしてくれる」ことが一番良いことだと思ってくださってると思います。
猫は、時に体調を崩します。若いころもそうですが、シニアになってくると体調を崩す頻度はあがります。一番分かりやすいのは、嘔吐でしょうか。
猫は基本的に吐きやすい動物です。猫はせっせと毛づくろいをするため、その毛を飲み込んでしまい、お腹の中に溜まっていきます。溜まった毛がウンチで出ていけばいいのですが、結構な頻度でコレを吐いて排出しようとします。若い頃は繊維質の多いフード(ヘアボールコントロール)を食べてればウンチで出てたんですけどね…
そもそも吐くのは要注意
「猫はよく吐く」で片付けず、吐いた理由や原因をもう少し考えるべきだったというのが今の私の心境です。いつ、どういう状況で、どんな吐き方をしたのか…いつも飼い主向けに分かりやすく情報発信されているZEROどうぶつクリニックさん、吐くことについて、Twitterで分かりやすい解説をしてくださっています。
猫さんの症状について、
動物病院に電話で相談したら、「診ないと分かりません」
と言われると思います。たとえば「嘔吐」っていう症状だと、
獣医さんの頭の中では、
ざっと思いついただけでも、
これくらい確認事項があるんです…。実際には、もっともっとあります・・・ pic.twitter.com/ymky3ADDOU
— ZEROどうぶつクリニック ~猫の避妊去勢手術が得意です~ 東京都江東区 (@ZERO42596487) July 5, 2021
上記のツイートから画像をお借り(無断でスミマセン、出典を明記します!)すると、獣医さんが飼い主さんから「猫が吐いた!」と電話を受けた際に、まず気にする項目が少なくともこれくらいあるそうです。
画像出典 : ZEROどうぶつクリニック様のTweetより
獣医さんとしても、飼い主さんから「吐いちゃいました、どうしましょ」とだけ言われても困りますよね…
ウチの場合、比較的よく吐く兄妹でした。若い頃は、がつがつ食べたり、がぶがぶ水を飲んだ後にゲローっとすることが多かったです。「オヤツ〜♪」と気分アゲアゲでガツガツ食べたあとに揃ってゲローっとするのには閉口したものですが、そういうのもあって猫が吐くことに慣れ過ぎちゃってたんですよね…反省です。
シニアになってからは、便秘によるいきみゲロが増えました。順序的には長男猫が早かったです。この時には既に身体は少しずつ脱水しがちな身体になってきていたのだと思います。そもそも、便秘は脱水が原因の可能性もあるわけですから…。
「一気食いしたのかな」「毛玉だろう」「便秘してるせいかな」
ひょっとしたらそうかも知れないし、ひょっとしたら病気のせいかも知れません。吐いたあと、ケロっとしておもむろにゴハンを食べだしたりしたら大丈夫なケースが多いとは思いますが、何度も嘔吐して、ぐったりしたり、どこかに引きこもってしまう場合は、なるべく早く通院して様子を見てもらうことも考えてみてください。
「猫は吐くものだから」で放置していると、嘔吐で脱水した状態が続いてしまい、腎臓に大きなダメージを与えてしまうということがあると思います。シニア猫や、吐くことが急に増えた場合は要注意です。
急性の腎障害の場合、早くに適切な手当をすれば、慢性腎不全に移行することなく回復することもあると言われています。
治療は腎臓が働いてることが前提
腎臓はオシッコを作るだけの臓器ではありません。
腎臓は老廃物や余分な水分、塩分などを尿として排泄することで、体の中の水分量やナトリウムやカリウムといったイオンバランスを適正に保ったり、血液の酸性、アルカリ性を調節したり、体内を常に最適な環境にする機能があります。また、骨を強くするビタミンDというホルモンを分泌させて、カルシウムやリンの吸収や排せつを調節し、骨を丈夫にしてくれたり、赤血球をつくるホルモン(エリスロポエチン)や血圧を調整するホルモン(レニン)などを分泌したりして、体の中の塩分や水分量を調節し、血圧をコントロールする働きもあります。
このように腎臓は多様な仕事をしてくれる臓器です。腎機能が落ちると、体内を最適な環境に保つ力が落ち、様々な問題が出ます。尿毒症も怖いのですが、造血ホルモンが作られなくなることによる貧血や、血圧が調整できなくなった高血圧など、これらも侮れない怖さがあります。猫は「呼吸が苦しい」とか「頭痛がする…」とか教えてくれないので、分からないんですよ…。
透析治療にせよ、研究開発中のAIM製剤にせよ、傷みきった腎臓では効果は見込めません。数あるおクスリやサプリも、腎臓が機能していることが前提です。何より、腎臓が元気でないと治療の選択肢が減ってしまいます。(よく効く抗生物質やステロイド、手術に必要な麻酔も腎臓には負担になりますので)
早いウチからの対処が何より有効
我が家のように、シニアになってからあれこれクスリやサプリを飲ませたり、ステージが進んでから皮下輸液をするよりも、早いウチから手を打っておく方が効き目もあるし、猫ちゃんも元気に長生きしてくれると思います。ホントに腎不全末期になると、打ち手が限られてきますし、手を打っても効果が感じられません…。
BUNやCreの数値に一喜一憂していると、飼い主の心身が保ちませんが、これらの数値が継続的に上昇傾向にある場合は、腎臓機能が弱り始めていると考えるべきです。
そして残念ながら弱って力尽きた腎臓の細胞は再生しないので、腎臓を大事にしてやる暮らし方を早いウチからやっておくことを、腎不全猫の元飼い主としては声を大にして申し上げておきたいです!
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