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【Biz】ドコモのahamoは代理店ビジネスとの訣別

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ドコモが新料金プランを発表

2020年の12月3日、NTTドコモがahamoという新しい料金体系を発表しました。

このプランは、NTTドコモの20代社員が中心となり、「自分たちが使いたいもの」として企画したという。

つまりは、今までは自社ブランドでさえ社員が使いたくなかったんじゃないのかと言うくらいに、このサービスはシンプルかつ魅力的です。

  1. 申込や問合せ、故障対応等はWebのみ。店頭申込・手続は不可
  2. 月間20GBまで通信可(超過後は1mbps制限)。5Gも利用可。
  3. 5分未満の通話料無料(かけ放題プランは+1,000円のオプション)

私はもう長いことauでの契約で、あんまり携帯電話を使わないこともあって最安プランなのですが、2年縛りの割引適用後の料金とほぼ同等以上…いや、それ以上の内容です。

  • 20GBの月間データ容量で、海外82の国々・地域で追加料金なくご利用いただくことができます。
  • 2年定期契約や解約金の設定はございません。
  • 1,000円の利用につき、dポイント10ポイントがたまります。
  • 個人のみ契約可能です。また、契約にはdアカウントが必須です。(法人契約は不可)
  • キャリアメールの提供はございません。
  • 支払方法は、口座振替またはクレジットカード払いとなります。
  • ご契約いただくことができるのは20歳以上の方に限ります。
    (親権者の方にご契約いただき、20歳未満の方を利用者登録することは可能です。)
  • ahamoでの動作確認ができた端末については、WEBサイトで順次お知らせする予定です。
  • ドコモをご利用中のお客さまについては、MNPのお手続きは無しに、プラン変更で簡易にお手続きいただけます。ただし、システム対応に時間を要しており、システム対応が完了する5月までの間は、他社から乗り換えのお客さまと同等のお手続きを行っていただきますが、手数料や解約金のご負担はございません。

これ、テザリングも出来るようなので、ポケットwifiを展開する企業にも影響があるんじゃないか…海外ローミングも対象だし。

https://www.nttdocomo.co.jp/

本当に官邸からの圧力に負けたのか

この内容には、総務大臣も、また官房長官時代から携帯電話の値下げを業界に求め続けてきた現総理大臣もたいそうお喜びかと思います。

携帯電話事業は国の許認可事業でもあり、業界が公正な競争力が働いていないと判断した場合は何らかの行政からの要請はあって然るべきかと思いますが、これまでのドコモの料金プランを考えるとかなりの破壊力がある内容となっています。

また乱立する「〇〇割」や、自社や提携先が展開する光回線やガス、電気と自社等のサービスと絡めるなど、定価なんてあって無きが如くの割引ありきの料金体系を考えると、20GBで月額2,980円というのは、「日本の携帯電話料金は高い」という官邸の発言に十分に応えている内容でしょう。

しかし、これは「お上の圧力に負けて…」という体裁をとりながらの、代理店と共存してきたキャリア側の禁じ手ともいえる構造改革なんではないかと思ってしまいます。

本当の目的は代理店ビジネスからの脱却か

NTTドコモは、子会社が運営するショップはあるものの、ざっと2,300店の代理店を擁しており、3大キャリアの中では最も多くなっています。子会社運営の店舗は100店にも満たず、多くは商社系の運営会社によるものです。
携帯キャリア会社は、代理店に対して「販売奨励金」や「販売報奨金」、「インセンティブ」などの「代理店手数料」を支払っています。代理店は、回線や携帯本体、契約や各種オプションを販売する見返りにこの手数料を主要な収益としてショップや企業を運営しています。アクセサリーとかSDカードとかは、店舗の直接の売上になるので、カウンターで薦められるのはこういうからくりですが(笑)。
昨今の電気通信事業法では、端末代金の割り引きやポイント還元等のユーザーに対する「利益」の提供を大幅に制限しており、この辺りのコントロールも代理店の末端まで行きわたらせるにはキャリアにとっても非常に負荷になっているはず。実際に総務省からも行政指導を食らっていますし。
企業が販売チャネルとして代理店を選択するのは、自社に拠点や人員リソースを抱えることなく販路と販売ボリュームを拡大できるのが大きな理由ですが、ユーザ自身で契約できるほど手続きがシンプルで、企業とユーザ間でWebと宅配で申込からデリバリーまで完結でき、何よりユーザが料金とサービスに納得してこのサービスを選択するのであれば、大元のサービス提供者からすれば、代理店の存在意義が無くなってしまいます。

正直申し上げて、私もauショップに行くのは機種買い替え時における「新しい料金プランと新しい各種割引の整理」が主な目的なので、ワンプライス制の料金体系なら私の場合はショップに行く目的は、その日に携帯機器を受け取れるということ以外にはありません。

こうして考えてみれば、キャリアによる複雑な割引プランの乱立と携帯以外の自社サービスのクロスセル戦略のために携帯ショップが存在していたような気がします。ただ、これも長きにわたりショップ運営会社からの「安いプランでユーザを獲得したい」という要望に応え続けてきたキャリアの責任かもしれませんが。

このahamo誕生の経緯は、これまでのビジネス慣習で複雑に絡まってしまった代理店との関係をドコモが止めたかったというのが真相のような気がしてなりません。

https://www.nttdocomo.co.jp/

携帯ショップは無くなるかも

ガラケー時代などは、電話帳や各種のデータ移行などもショップが持つ有意のサービスだったかもしれませんが、iCloudやGoogleのサービス、各種アプリの同期機能実装により、かなりのレベルで新機種に引き継ぎできますので、多くのユーザーにとってショップの有用性というのは著しく下がっています。

携帯電話の実機にしても、家電量販店に行けばすぐに手に入りますし、iPhoneも新品ならApple Storeで、中古なら通販ですぐにも届き、Androidになると新品でも通販でよりどり。Simを差して初期設定が出来て、wifiに繋ぐことが出れば、多くのデータは同期されます…

auでもう長いこと契約している私も、このプランならドコモに乗り換える可能性があります。だって、かなりの長期ユーザーですが、今のプランには割引の適用が無いし…既存のドコモユーザーもかなりの数がこちらに移行するのでは?ぶっちゃけ、キャリアメールなんてほとんど使ってないですし…。

そうなると、約2,000店のドコモショップってどうなるんでしょうね。ただでさえ、コロナで来店制限やら、Webサポートへの誘導など、店舗運営に打撃を受けているところに、自店で取り扱いできない魅力的なサービスがキャリア直販で展開されるので。多くは廃業せざるを得なくなるのでは…

また、体力のあるキャリアも、ドコモに追随する可能性はあるでしょう。各社が、代理店を切るという判断を各社が出来るかどうかが一番大きい問題になるでしょうが、契約者が怒涛のようにドコモにシフトした場合は、追随の決断をせざるを得なくなるでしょう。

2020年3月時点で、キャリアショップは約7,900店舗。この半分が淘汰された場合、ショップの店員さんや運営企業の社員さんたちは仕事を失うかもしれません。半分のショップが廃業した場合、4,000店舗×スタッフ15名では、6万人に影響が出ます。

このインパクトは相当にデカいんだよなあ…携帯料金が下がるのはユーザとしては歓迎するんですけどね。

官邸や総務省はドヤ顔でしょうが、雇用が気になる厚労省や、運営企業が気になる経産省は渋い顔をしているかもしれません。テナントが撤退すると、不動産にも影響があるし。駅前一等地のキャリアショップが無くなると、大家さんも大変だ…

昔はモトローラのガラケーって外国かぶれの人がこれ見よがしに使ってたもんですが、今はお手軽価格になりましたねえ…ピュアAndroidな分、サクサクかと。

 

 

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