「二位が世界を面白くする」企業精神はどこへ行った?
20年ほど前、こんな骨のあるキャッチコピーで業界ガリバーであるドコモを猛追する意欲を漲らせていたKDDI。
多分、KDDIのこれまでのCMの中でも私の中では断トツ1位、(私が思っていた)KDDIらしさがぷんぷん匂う秀逸のCMだと思います。
実際、こんなことやった白バイ警官は懲戒免職モンだと思うのですが(笑)、判官びいきな国民性を持つ日本人なら、「おっ!」と思った方が多いのではないでしょうか。
私もその一人で、新電電も第二電電(古っ)でしたし、KDDIポケット(懐かしっ)を経ての長期のKDDI(au)ユーザーです。
auの新プラン、お手盛り感満載…
データ使い放題で「Amazonプライム」がついてくる料金プランを月額3,760円から提供開始 (KDDI)
高額の基本料金に、各種の抱き合わせ割引プランを付けるというこれまでの料金体系を踏襲した分かりにくいプランです。期間縛りと期間限定割引も含めて割安感を訴求していますが、先般、NTTドコモが発表したahamoの方が圧倒的にシンプルでパワフルです。
大体にして、業界トップがしがらみを捨てることが出来ずにお手盛りプランを出したところに、二番手三番手が競争力のある新しいプランやサービスを発表して攻めるのが普通だと思うのですが、今回についてはまさに逆…
そもそも、この3,760円、家族4人割り適用後の価格やで…
「国に携帯料金を決める権利はない」は正論だが…
日経新聞のインタビューに、「国に携帯料金を決める権利はない」とぶち上げた高橋誠社長。それはおっしゃる通りで、高橋社長としてはサブブランドのUQモバイルとの棲み分けも考えてのご発言だと思います。
UQモバイルで、20ギガバイトで税抜き月3,980円という料金プランを2021年2月から提供することが発表されていましたし、この11月25日のインタビュー時点では、
今後の対応については、ドコモが大幅値下げを打ち出してきた場合は「民間企業として、顧客を逃さないように対抗策を考える」
とお答えになっていました。
NTTドコモはahamoの発表において、UQモバイルの新プランですら勝てない料金体系を打ち出しています。それを受けての今回の発表では、「決まっていたから発表する」ことを優先したように思います。
それとも、au本体がahamoに勝てるプランを打ち出すと、KDDIグループにおけるUQコミュニケーションズの存在意義が無くなるから?
そうだったとすると、それもグループ内の話であって、業界全体や何よりユーザー視点を持っていないということに他なりません。まあ、KDDIさんは大企業ですから仕方ないですけど…
それとも、既存の携帯キャリアショップ運営会社との関係も無視できなかったのかもしれません。このあたりは大人の事情も色濃くあるでしょうし。
通信会社は、電気ガスなどと同じく社会インフラを担うという側面からも、民間企業でありながらお役所的な部分が色濃いとは思うのですが、比較的先進的な企業イメージだったKDDIがコレでは…そもそも、KDDIは、通信で圧倒的に強いNTTに対して、先進的な対抗サービスで業界の改革を進めていく立ち位置であるイメージを持っていました。だからこそ、「二番手が世界を面白くする」というキャッチコピーが活きたんだと思うのですが…。
携帯会社を選ぶのはユーザー
「国に携帯料金を決める権利はない」ように、「携帯会社はユーザーが選ぶ」もの。かつて携帯会社を守ってきた「契約期間縛り」は、おかしなことに国によって厳重に監視されるようになりました。いつからか、KDDIは攻めることよりも守られることに慣れていたのかもしれません。楽天モバイルも、インフラ的にはまだまだですが、通信会社以外の企業が参入できるようになったので、本来はもう少し携帯キャリア会社も危機感を持った方が良いかと。(後発がまだイマイチなので危機感が湧かないかもしれませんが)
個人的には、今は電気もガスもauですし、かつて口座開設したネット銀行は「auじぶん銀行」になったりと生活インフラは結構「au経済圏」だったりするのですが、それらの特典であるポイント等のお得額が携帯料金の差額で吹っ飛ぶのであれば、別にauにこだわることも無いと思うんですよね。自分の中では、多少の携帯料金の高さも、これまでの企業イメージから「携帯会社はau」と決めていたので気にしないようにしていましたが、今回の一連の流れで、
私の中のKDDIに対するイメージが地に堕ちました。
国に盾突くのはともかく、ドコモへの対抗措置はやってくれると思ってたんだけどな…
企業ブランドって、そのバックボーンは製品やサービスであり、その奥にある理念だったりするんですよね。
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