ラプロスの効果が論文で!
弊ブログでも検索ワードが多い猫の慢性腎臓病医薬品「ラプロス」。次男猫も闘病時は服用しており、飼い主として効果を実感できたお薬です。
猫専門病院の院長さんのブログで、このラプロスについて効果が認められた研究論文を紹介された記事がありました。さすが獣医師先生、読み手にわかりやすくまとめられている記事ですので、慢性腎臓病の猫ちゃんと暮らしている飼い主さんには是非、眼を通してもらいたい記事です。
・ラプロスを飲んでいた猫の方が平均生存率が伸びた
・ラプロスを飲んでいた方が、悪化しない期間も長かった
原文の論文は以下のサイトでご覧いただけます。英語で読むのも良し、ブラウザでポチと「日本語」翻訳すればある程度は読めると思います!
【要約】
【論文全文】
ラプロス投与で長生きするか
今回のデータの対象として、とある動物病院のなかでIRISステージ3の慢性腎臓病の猫ちゃんたちのデータの中から条件にあう134頭のデータを分析したとのこと。
画像出典 : “Beraprost and Overall Survival in Cats with Chronic Kidney Disease”
この134頭の猫ちゃんたちの中央値は、年齢15.3歳、体重3.6キロ、Cre3.3が中央値となっています。それなりにシニア猫さんたちです…
気になる生存期間ですが、ラプロス投与群(57頭)と非投与群(77頭)で比較すると、ベースライン(比較開始時)からの生存期間の中央値は、ラプロス投与群で23.4か月、非投与群群では9.5か月となっています。
画像出典 : “Beraprost and Overall Survival in Cats with Chronic Kidney Disease”
これはなかなか衝撃的な数値です…
非投与群は9ヶ月目ごろには半数が亡くなり、40週目で全頭が死亡という結果であるのに対して、ラプロス投与群は半数が亡くなったのは24ヶ月目ごろ、そして44週を過ぎた段階でも3割以上の猫ちゃんが生存しています。
こうして数値を見ると、ラプロスは慢性腎臓病でステージ3になった猫ちゃんの長生きに寄与していると言えるのではないかと。
ラプロス投与で病状悪化を防げるか
この論文では、慢性腎臓病の悪化を「ベースライン(比較開始時)と比較して血清クレアチニン(Cre)が 25% 以上増加」と定義しています。
こちらも同じ母数でラプロス投与群(57頭)と非投与群(77頭)で比較すると、ベースラインからの慢性腎臓病が悪化が始まった時期は、非投与群群では5.9か月、ラプロス投与群で16.6か月となっています。非投与と投与では、一定の悪化水準に達するまで1年近い差があるのにびっくりです。
画像出典 : “Beraprost and Overall Survival in Cats with Chronic Kidney Disease”
ベースラインから1年後に悪化せずに生きている確率は、非投与群では37.6%に対し、ラプロス投与群では63.9%となっています。
ざっくり言えば、ステージ3になってラプロスを飲んでいない猫ちゃんが1年後に悪化しない確率は4割弱、ラプロスを飲んでいる猫ちゃんは6割強ということになります。
個体差はあるし副反応もある…
論文から個人的に読み取れたのは、先の獣医師先生と同じく以下のようなポイントです。
・慢性腎臓病の猫のうち、ラプロスを飲んでいる猫の方が長生きする傾向がある
・慢性腎臓病の猫のうち、ラプロスを飲んでいる猫の方が悪化しない期間を長く維持できる傾向がある
先代の次男猫はかなり腎臓病が進んだ状態でラプロスを飲み始めました。そのことはこれまで弊ブログでも書いています。
猫には個体差がありますし、ラプロスに限らずどんな薬も合う/合わないはあります。他の病気を併発していてラプロスの適用外になる猫ちゃんも居るでしょう。上記のブログにも書きましたが、次男猫も投与初期はかなり激しい副作用がありました。ただ、休薬後の再開で安定してくると、かなり元気になって私を喜ばせました。次男猫的にはQOLも上がったと思います。
ただ、ラプロスは結構なお値段の薬です。1錠100円〜150円×1日2回なのでお薬代だけで月に1万円程度は飛びます。慢性腎臓病は治る病気ではないので、止めることは出来ません。(止めるのは可能ですが、ほぼ確実に症状は悪くなります)輸液の頻度が下げられれば、それなりの費用対効果は生まれるかもしれません。
この記事が「ラプロスを勧められたけど…」という飼い主さんへの判断材料になれば幸いです。個人的には、もし姫ちゃんが慢性腎臓病になってステージ2〜3と診断されたら、迷うことなく投与を開始すると思います。早く飲み始めた方が効果が出やすいし、腎臓も長もちすると思いますので。
AIMはもう少し時間がかかりそうですし、セミントラも供給が不安定となると、現時点ではラプロスが一番頼りになる薬かと思っています。
個人的には、慢性腎臓病+シニア猫さんには、ラプロスとモエギタブなどのアンチエイジングサプリかと。
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