高齢になると避けられない腎臓病
腎臓の細胞は、切っても細胞が再生される肝臓などとは違い、使い捨てな細胞の集合体であり、死んだ細胞が再生することはありません。
愛猫の腎臓が悪くなると、腎臓を治すことはできず、現状を維持することが主目的となります。
我が家の三兄妹も、揃って慢性腎臓病になってしまいました…今は1人残った次男猫の闘病サポートをしています。
当時16歳。腎臓病はかなり進行していましたが、まだまだ元気でした
慢性腎臓病は、クスリを飲ませてオシマイではなく、飼い主が諸々のサポートをすることが求められます。
弊ブログには、慢性腎臓病(腎不全)や高齢の猫の情報収集でお越し下さる方が多いようですので、これまでの経験を色々書いたものを含めて、一度、ここでまとめておこうと思います。
腎臓が良くないと判明する経緯
健康診断等で、血液検査で分かることが殆どだと思います。
BUNやCr、リンの値などが代表的な数値です。
これらの値が悪くなり始めた時でも、我が家の三兄妹の場合では、日常生活では殆ど気になることがありませんでした。また、BUNなどは脱水によって簡単に上下しますし、食べるフードの中身によっても上下するので、悪い時もあれば良い時もあります。治療をするか迷うこともあろうかと思いますが、
早めに手を打てば腎臓悪化の進行速度を遅くしても元気な状態を長く維持することができます。
クスリやサプリも色々と出ています。動物病院の先生と相談してみてください。
便秘する、食べる量が減った、痩せた、オシッコの回数が増えた、オシッコの量が増えた、というような症状が出るのは、腎臓がかなり悪くなってからです。
腎臓の検査数値が良くないと分かった時は、早めに手を打つことが後々にとって良い結果になります。
腎臓が悪くなってからの対応
腎臓への負担が少ない療養食への移行が基本です。
タンパク質やリンなどのミネラルが多すぎるフードやオヤツは避けた方が良いです。
タンパク質は必須の栄養素です。人間では「低カロリーの高タンパク」が身体によいと言われますが、腎臓が良くない猫にとっては逆です。
腎臓が悪い猫には「高カロリーの低タンパク」が良いのです。
食餌でタンパク質が多すぎると、老廃物が多く生まれて肝臓と腎臓に負荷がかかるのです。
腎臓用の療養食は、どうも美味しくないようなのですが、オヤツとしてCiaoちゅ~るを使っても良いと思います。腎臓や下部尿路疾患に配慮したちゅ~るは、高カロリーの低たんぱく、ミネラルカットなど、キチンと配慮が行き届いたスペックになっています。
高齢になると、食い物の好みにも非常に頑固になりますが、オヤツやトッピングでなるべくたくさんの療養食を食べてもらうよう、飼い主さんとの知恵比べになります。
定期的な点滴輸液が必要
腎臓機能が低下してくると、腎臓で血中の老廃物を効率的に濾す力が落ちることから、質を量でカバーするためにどうしても多い尿で排出しようとします。
この多尿の状態でも、水を多く飲んでくれればバランスが取れて問題無い(中長期的な問題はともかく)のですが、知らず知らずのうちに体内の水分量が減ってしまい、脱水状態に近づいてきます。
非常に単純な公式で、
「オシッコの量 > 飲む水の量」が続けば脱水していきます。
厳密には、オシッコだけでなくウンチや嘔吐にも水分が含まれますし、ウェットのほとんどは水分でカリカリにも少量の水分が含まれますが、摂る量以上に出ていく状態が続けば脱水するのです。
脱水すると、血が濃くなりますが、この濃い血を濾すのが腎臓にとって負担になり、腎臓の細胞を死滅させることに拍車をかけます。
腎臓が悪くなってからは、食欲がないとか、元気がない、便秘するとか、または背中の皮膚をつまんで脱水が認められる際などは、病院で点滴してもらって保水してあげると、また水もちゃんと飲むようになると思います。
脱水の状況によっては、最初は月イチや2週に1度くらいで良いかもしれません。
ここで対処を怠ると腎臓へのダメージが加速しますので、なるべく早めに対応してあげてください。
今になって思えば、我が家もこの時点でもっと輸液に通ってあげていればなあ…と思います。
元気で体力がある時であれば、輸液をすれば良い反応(悪い症状が改善する)が得られると思います。なにより腎臓へのダメージも少なくて済みますし、そのことがその後の猫のQOL維持に大きな意味を持つことになります。
体力が落ちてからでは、効果が少ないんですよ…。
もう少し慢性腎臓病が進んでからの記事は、こちらです。
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