食べなくなった老猫
もともと昼間もあまりゴハンを食べない19歳の次男猫。これまでは、夜に出しておいたカリカリを朝になったらそれなりに食べていることが多かったのですが、6月に入って朝はカリカリがそのままの状態であることが増えました。
老猫飼いや病猫飼いの方にはご理解いただけると思うのですが、朝、このゴハン皿の観察だけで、その日一日が決まると言っても過言ではありません。めざましテレビの「今日の占いカウントダウン」よりもよっぽど重要なのです。
ここんとこ、香りを考えてせっせとカリカリを交換したり、違うカリカリを交えてローテーションを短くしたりと、あれこれ試してみましたが、ことごとく失敗し、頭を抱えておりました。
思い当たるところが多すぎる食欲不振
猫が慢性腎不全になると、カラダの色々なところに影響が出てきますし、そのことで食欲が落ちる、ゴハンが食べられない、水を飲めないということが出てきます。
貧血
腎不全になると腎臓で生産される血液を増やすホルモンが減ってくることで、貧血になります。この腎性貧血の場合、鉄分を摂っても効果は薄く、造血ホルモン注射が解決法。貧血になるとカラダが酸欠状態なのでシンドくて食欲どころではなくなります。
胃酸過多・胃炎
腎不全になると胃酸過多になることが多いようです。空腹時に吐いたりするのはこれによるもので、胃酸が多いとどうしても胃の粘膜が荒れて胃炎になります。吐くことが多いと胃液で胃や食道の粘膜が荒れることも人間と同じ。胃酸過多、胃炎はムカムカしますしね…
口内炎
呼気に尿毒素やアンモニアが含まれることで、口内粘膜がただれて口内炎になることがあります。呼気がシッコくさい猫ちゃんの場合は要注意です。口内が痛いと食べるのがイヤになるのは人間も同じ。
脱水
腎不全では多尿になりますので、飲む水の量が追いつかないと脱水します。人間も脱水すると、頭痛やだるさ、気持ち悪さのあまり、食べるどころではなくなります。
次男猫も貧血があるので定期的に造血ホルモンを補充する注射をしていますが、ひどい時に比べて肉球や歯茎の色も悪くありません(良くもありませんが)。たまに朝方に口をくちゃくちゃさせて吐くこともあるので、胃酸過多はあるようです。カリカリを食べていても食べこぼすことが増えているので口内炎もあるのかなと思っていたのですが…
獣医師の診立て
造血ホルモンの注射に併せて、最近の食欲不振についても診察してもらいました。貧血の兆候はあるもののそこまでひどくはなく、口腔内の炎症も無いとの診察。
ここで獣医師が言うには「食べたくないんでしょうなあ…」と身も蓋もないことを。かかりつけ医は、次男猫の腎臓への負担を考えて、あまり薬を処方しない主義。よっぽどのことがない限りは抗生剤もステロイドも出してくれません。
「食べたくない理由は…脱水でしょうな」
劇的に悪いわけではないが、いわゆる「かくれ脱水」のような状態だったのかもしれません。
私としても、心臓や血圧の負担を考えて、小刻みに結構ギリギリのところを加減して輸液していましたが、どうもそのことが継続的に脱水気味の状態を起こしていたようです。猫は肉球くらいしか汗をかきませんので発汗による脱水は起こりませんが、多尿により、日々の輸液と飲水では足りない程度の脱水が継続的に起きていた可能性が高い…。これは日々、漫然と自宅輸液をしていた飼い主の落ち度です。不覚!
皮下輸液の大量投入
心肺機能が頑丈な次男猫なので、とりあえず皮下輸液の副作用を考えず、尿毒素や老廃物を排出することを目的として、今晩は1回だけ200mlをどーんと輸液して様子を見てくださいとのこと。また、脱水も長く続くと体液だけでなく、体液以外の組織内にある細胞も脱水することもあるので、当分は輸液量を多くしてみると。
最近は多くても80〜100ml程度の輸液だったのですが、昨夜は久々に200mlを投入。結果、身体をたぷたぷさせながら、その重みでヨロヨロと歩いていました。そして、輸液後しばらく休んだあとに、おもむろにカリカリを食べだしました!高カロリー食であるメルミルの食いつきも明らかに改善しました。やっぱり脱水だったのか…!
朝になると昨夜はたぷたぷだったところはすっかり吸収されてしまいました。むくみも無いようで、水分が足りてなかった細胞組織に吸収されたかな…。ただ、まだまだ十分な摂食量には至っていないので、これから3日ほどはたぷたぷします!
コメント