家に居る時間が増えたので
コロナ禍が長引いて波状攻撃のように緊急事態宣言が発出され、不要不急の外出を控えるように言われ、夜の会食も控えるようになり、出勤もリモートワークが推奨となり、ご自宅で時間を過ごす方も増えたと思います。
その流れで、「家に居る時間が増えたから」ということでペットを迎える方も多くなったという報道もよく聞きます。随分昔ですが、私もペットショップで子猫や子犬を眺めるのが好きでした(今は行きません!)。当時はペット不可住宅だったのでいつかはペットを飼える住宅で猫を迎えるのが夢でしたので、自宅に居る時間が長くなることで、生活にハリをもたせたいとニャンコやワンコを迎えたいという気持ちも分からなくもないのです。
しかしながら、ホントにその理由で迎え入れていいのかなという危機感も持っています。
少し前になりますが、某消費者金融のCMでチワワがブームになりましたが、大人気になったチワワが大量繁殖され、ブームの終焉とともに売れ残った(!)犬たちが悲しい結果を迎えることになりました(そもそも、借金をしなければワンコを買えない方は飼うべきでは無いと思います…)。
「ネコノミクス」という言葉が生まれ、優れた猫グッズや猫コンテンツが増えたのは喜ばしいのですが、猫という長命の動物を迎えるというハードルがやや低くなっている懸念もあります。「血統書付きの猫は高いなあ」と思われるかもしれませんが、高齢猫や病気になると、そんなのは屁でもない額が必要になりますよ?
環境が変わっても飼い続けられる?
「Stay homeで家に居る時間が長いからペットを飼いたい」というロジックだと、「家に居る時間が少なくなるとペットを飼う理由が無くなる」という事になりかねません。犬も猫も留守番はしてくれるでしょうが、帰宅したら、ちゃんと構ってあげる必要があります。
ストレスから問題行動を起こす場合は、その理由は犬や猫ではなく、飼い主の責任が大きいのです。猫は散歩に行く必要はありませんが、ワンコは朝晩と散歩に行くことが必要でしょうし、大型犬になるとそれなりの運動量が必要となり、散歩の時間もとられることになります。かつての自分の働き方を考えると、どう考えても大型犬を飼うのは無理だなあ…帰宅したらヨレヨレになってたからなあ。
もちろん、きっかけは何であれ、ワンコや猫を迎え入れて、ご家族総出で可愛がってくれる環境であれば何の問題も無いのですが、必ずしもそうではないケースも多いようです。
保健所に持ち込まれる猫の2割は飼い主から
これは衝撃的な統計データなんですが、保健所等に持ち込まれる猫の2割は「飼い主」が持ち込むそうです。
出典:環境省 統計資料 犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況
捨て猫から野良になった猫、その野良が生んだ子猫も基本的には人間が生み出したものであろうと思うのですが、「2割が飼い主持ち込みという事実」が何とも恐ろしいものです。自治体にもよりますが、所有者不明の場合は、数日の待機期間が設けられるものの、飼い主からの持ち込みの場合は原則として「殺処分」で、自治体によっては即日というところもあります。飼い主持ち込みの猫については、保護猫ボランティアさんにも情報が行かないそうです…。
飼えなく理由は、ひとそれぞれ様々な理由があると思います。なかにはもう本当にどうしようもないケースもあるかもしれません。しかし「思ったより手がかかる」とか「なつかない」とか「壁で爪とぎする」とか「病気だから」というのは、本当にもう何をか言わんやです。
個人的には、保健所のこういう殺処分や持ち込み動物の受け入れという仕事は絶対にやりたくないです。というか、出来ません。いくら生きていくために収入が必要でも出来ない仕事はあります…しかし、公務員という立場ではやらざるを得ないんだろうなあ…
殺処分が減っているのは保護猫活動のおかげ
自治体でも殺処分を減らす努力をされていますし、最近は選挙等でも「殺処分ゼロを目指す」公約を掲げる候補者が増えました。
なにより、保護猫活動をされているボランティアさんのおかげで、こうした保護猫ちゃんたちが譲渡会等を経て里親さんに引き取られることが増えています。「殺処分ゼロ」を達成している自治体においては、その分、保護猫ボランティアさんにしわ寄せが行っているという側面もありますが…
出典:環境省 統計資料 犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況
殺処分が分かってて捨てにくる飼い主よりも、保護猫と分かっていて、その猫を迎えたいと言ってくれる里親さんのほうが、猫ちゃんにとっても幸せです。
猫友さんの猫ちゃんもかなりの数が保護猫さんですが、みんなこの上なく大事にされています…。ちなみに我が家の三兄妹も捨てられていた猫です。譲渡会などを経ず、公園で拉致してそのままの直仕入れですが。「幼猫を公園に捨てる」という行為は今でも本当に許せないのですが、三兄妹を私に引き合わせてくれたというその一点については、心から感謝しています。変な話だけど。
ただ、猫が終生を全うするまで面倒を見る覚悟がある方が猫を迎えるのは大歓迎です!
そんな方には、闇深いペットビジネスに加担するのではなく、ボランティア団体が開催している譲渡会等に足を運んでくださるようお願いしたいです。信じられないくらい可愛い仔猫もたくさん居ますよ!落ち着いた成猫もいっぱいいますし、成猫をお迎えしてくれるとボランティアさんも喜びますよ。
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