脱水は万病の元
慢性腎臓病の猫ちゃんと暮らし、そして看取ったことのある方にとって、猫の脱水というのはとにかく避けねばならないものだということはよくよくご承知のことと思います。
三兄妹の若い頃などは、ゴハンと水の入れ替え、トイレ掃除さえしておけば猫は元気なものだと思っておりました。動物病院での定期検診でも「腎臓の数値が悪くなっていますね」と言われてもピンと来ず、「オシッコの比重が軽くなってきていますね」と言われてもなんのことだかさっぱり…定期的に通院せよという営業トークくらいにしか思っていなかったので、まあ無知とは恐ろしいものです。
大事なことですのでもう一度。腎臓は悪くなると治る臓器ではありません。
腎臓はオシッコを作るだけではない
腎臓は血液を濾過してオシッコを作るだけの臓器でありません。ホルモンを産生するというものすごく大事な役割を持っています。血圧をコントロールしたり、血を作ったりするホルモンを産生するのですが、腎臓が弱ってくるとこれらのホルモンが減ってきます。その結果、慢性腎臓病になると高血圧になったり、貧血になったりします。
次男猫も末期は物凄い高血圧だったと思います。目もあまり見えなくなっていたんじゃないかと…眼を見開いている割には、目の前で手を振っても反応しなくなりました。またひどい貧血でもありました。足りなくなった造血ホルモンを注射で補完してしばらく経つと血液検査で赤血球が増えてきますが、止めてしばらくするとまた貧血になってしまいました。
この高血圧というヤツが腎臓にダメージを与えるのでこれまたやっかいです…慢性腎臓病はどんどん悪くなっていくという本当に悲しい病気です。
猫に水分を摂らせるということ
腎臓の細胞は「使い捨て」でどんどん死んでいき再生しません。ただ、細胞を詰まらせずにすれば死んで減るスピードを遅らせるために、水分の多い状態の血液を腎臓で濾過させることで腎臓の細胞を長持ちさせることが出来るようになります。濃ゆいドロドロのものを裏ごしするとすぐに目詰まりしますが、水分が多いものなら目詰まりしにくいですよね?アレです。
基本的に猫は水をたくさん飲む動物ではありません。もともと山に住む動物として、水が少ない環境で生きる動物です。
「猫だって喉が乾いたら自分で水を飲むだろう」と考えがちですが、最近は「猫は放って置くと水を飲まない動物」だと思っています。猫さんの腎臓は超優秀で、血液を濾過して作ったオシッコから水分を再吸収して超絶濃ゆいオシッコを作る(「尿濃縮能」というそうです)ことで水分を調達できるのです。その分、濃ゆい猫ちゃんのオシッコってクサイのですが。しかし慢性腎臓病が進んだ猫ちゃんのオシッコは悲しいかな本当に臭わなくなります…
水を飲ませる工夫をした一年
先日で姫ちゃんが我が家に来て一年になりました。本当に健康的な姫ちゃんなのですが、困ったことが「あまり水を飲まない」ことと「あまりトイレに行かない」ことでした。
長いこと慢性腎臓病の猫たちと暮らしてきて「多飲多尿」に慣れすぎていたこともありますが、とにかく腎臓の負荷を減らして長持ちさせたい私ととしては、この一年は水を摂らせることに腐心してきました…最近、ようやくその効果が見られるようになってきました。
オシッコに行かせる
オシッコに行かないと水を飲まない…というのはあると思います。私の場合、育児アプリで姫ちゃんの毎日のトイレ記録を付けていますが、そろそろオシッコの時間だけどまだ行ってないな…という時は抱っこして無理やりにトイレに入ってもらいます。多くの場合、姫ちゃんも「おお、そんな時間か…」と言わんばかりにジョーっとしてくれます。単なる面倒くさがり屋なのかもしれませんが。
水を飲ませる習慣づけをする
風呂場で蛇口から洗面器に水をチョロチョロだしてみせて面白がるついでに飲むということを意識して続けました。最初はビビっていたものの、最近は風呂場での蛇口からの直飲みが一番好きなようです。
今では早朝に「お風呂場でチョロチョロして!」と要求されるのが困りものですが。
ちゅ~るに水を足して与える
ウェットフードを上手く使えると良いのですが、姫ちゃんは頑固なドライフード好き。ただ、ちゅ~るは別。なので、お腹が空いている時にちゅ~るに水をたっぷり足して食べてもらうようにしています。ちゅ~る1本に水やぬるま湯を40ml足すとかなりの水分摂取量になります。姫ちゃんの場合、足す水の量は40mlが限界でそれ以上増やすと味が薄まるのか食べる意欲が著しく減退します。
ペット用ファウンテンを活用
電動ポンプで水をちゃぷちゃぷ出してくれるペット用ファウンテンは優れものです。最初はポンプの音や水音に警戒して遠巻きに見ているだけかもしれませんが、数日放って置くとそれなりに使ってくれるようです。姫ちゃんは蛇口から出る水が好きなので、この夏に蛇口吐水タイプのものを買いましたが、よく使ってくれるようになりました!
水場をたくさん作る
我が家には、常設の水場は3ヶ所あります。気が向いた時に水を飲んでくれるように多めに設置しています。これらを毎日、水を入れ替えるのは結構面倒ではありますが、愛猫が慢性腎臓病にならないようにと思えば…あのツラさに比べればなんてことありません。せっせと入れ替えます。
また猫の習性上、食事場所と水場は離すのが良いそうです。野生動物の名残で、獲物を食べるところは血やその他で不衛生なので、新鮮な水は離れたところで摂るという習性があるのだとか。もちろん、トイレからも離してあげてください。
Twitterのフォロワーさんからのご意見があり追記しますが、愛猫の生活動線に水場を仕掛けるのも凄く大事です。うろうろ歩いてる時に、「ん?おお、水か…」と飲んでくれることも多いので!
一年経ってようやく効果を実感
これらを一年やり続けて、最近はオシッコは朝晩の一日二回、きっちりするようになり、オシッコ玉も以前よりは大きくなってきました(まあ水をがぶがぶ飲んだり、オシッコ玉が大きくなると「多飲多尿じゃないか」「腎臓病なんじゃないか」とか思ってしまうのですが…)。
猫に多めの水分を摂らせることは一朝一夕には出来ません…ただ、こうした積み重ねが慢性腎臓病を避けることに繋がると信じて今日もせっせと水を汲み変えるのです。もう愛猫の慢性腎臓病はごめんです!
皆さんの、愛猫に水を飲ませるアイデア、ぜひ教えてください!
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