「AIM」って結局どれのこと?
猫の腎臓病に関心を持っていると、「AIM」/「AIM30」/「(クスリの)AIM」という言葉を目にする機会も増えてきていると思います。
実は、この3つはそれぞれ別物です。混同していると、「AIM30を食べれば腎臓病が治る」とか「(薬の)AIMは市販される/されている」とか、誤解につながってしまいます。
私自身、先代の次男猫が慢性腎不全で旅立つ前からずっとAIM関連の情報を追いかけてました。東京大学に寄付もしましたし、AIM30が販売開始された時はドラッグストアを探し回りました。その経緯もふまえながら、できるだけわかりやすく整理してみます。
まず「AIM」とは何か
AIMとはタンパク質の名前。正式には「Apoptosis Inhibitor of Macrophage(マクロファージの細胞死抑制因子)」。東京大学の宮﨑徹教授(現在は東大を退職され株式会社 IAM CATを設立)が発見・研究されてきたもので、体内で腎臓の「ゴミ掃除」をする役割を果たすタンパク質。
猫は生まれつき、このAIMが血液中でIgMというタンパク質とくっついたまま離れにくい体質になっています。そのため腎臓にゴミが溜まって慢性腎臓病になりやすく、猫の死因の上位に腎臓病が来るのは、この体質が影響していると言われています。
AIM30って何?
AIM30とは、宮﨑教授とマルカンの産学連携で開発され、2022年にマルカン社から発売されたキャットフード(とそのブランド)です。
「AIM30」という名前を聞くと、「AIMが入っているフード」と思いがちです。ところが、AIMタンパク質そのものが入っているわけではありません。
AIM30には「A-30」と呼ばれるシスチン・メチオニン・タウリンという3種のアミノ酸が配合されていて、これらが猫の体内でAIMを活性化させる(かもしれない)というフード。あくまで総合栄養食であり、療法食でも医薬品でもありません。なので腎臓病じゃない猫ちゃんが食べて問題のないフード。(逆に腎臓病が進行している猫ちゃんは食べない方がいい…)
当時、私もこのブログで原材料や栄養成分の情報を調べて記事にしました。腎臓病の猫を持つ飼い主さんがいかにフードの成分に敏感かをひしひしと感じながら(当時はAIM30狂騒曲という感じで転売屋も暗躍したほどでした!)書いたのを覚えています。
ただ現時点では「食べれば腎臓病にならない」とか「食べれば腎臓が良くなる」という証明はまだ…?AIMを活性化させる効果を直接示す論文やデータも、現時点では公表されていないようです。期待はしつつも、過度な期待は禁物…。ウチの姫ちゃんはAIM30のドライフードは出されたら食べますが、オヤツの方がお好き。
動物病院向け卸商社のシグニ社からは、療法食「AIM vet’s 腎臓サポート」というフードが出ています。宮﨑先生監修で、超低たんぱく+低リン+高カロリーな腎臓療法食ですが、こちらもAIMが入っているフードではないようです。
AIM vet’sについてはまだ実際の使用報告が少なく、今後の情報が待たれます!
FeliAIMって何?
「AIM30やAIM Vet’sなどのフード」と、腎臓病の猫用医薬品「FeliAIM」は全くの別物です。
FeliAIMは、体外で作ったAIMタンパク質そのものを投与する医薬品です。
AIM30/AIM Vet’sが「食事でAIMを活性化しようとするフード」だとすれば、FeliAIMは「外からAIMを直接補充する薬」。対外から投与されるFeliAIMのAIMもいくらかはIgMに結合されるのでしょうけど、体外から大量にぶち込んで結合し切れないAIMに掃除をさせる、という仕組みのようです。
| AIM (名称) | AIM30 (総合栄養食) | AIM vet’s (療法食) | FeliAIM (AIM猫薬) | |
|---|---|---|---|---|
| 正体 | タンパク質(物質の名前) | キャットフード(市販品) | キャットフード(動物病院専売) | 動物用医薬品(治験中) |
| 宮﨑先生との関係 | 発見 | 共同開発 | 監修 | 開発者本人 |
| AIMそのものが入っている? | ― | ✕ | ✕ | 〇 |
| 今すぐ入手できる? | ― | 〇(市販) | 〇(動物病院専用) | ✕(未承認) |
| 腎臓病の猫に使える? | ― | △(健康猫向け) | 〇 | 治験中 |
開発しているのは、宮﨑先生が設立した株式会社IAM CAT。2025年5月に全国26病院で治験が開始され、2026年2月には販売名も正式に決定しました。承認・発売が現実のものとして視野に入ってきていますが、承認申請に向けて大詰めのようです!
FeliAIMの承認申請の準備が大詰めですが、一人で行う論文書きとちがい、色々な人が関わるチーム作業なので、物凄いストレスです💦すっかり胃を壊してしまいました😭でも待ち望んでいて下さる沢山の飼い主さんたちのため、死んでも4月に申請する覚悟です!絶対負けない!頑張ります!!
— Toru Miyazaki/宮崎徹 (@Toru51557911) March 21, 2026
元看取り経験者として思うこと
次男猫が旅立ったのは2021年のこと。当時は自宅輸液して、ラプロスやらサプリを投与しながら、できることはあれこれ色々やりました。でも当時は、腎臓のゴミそのものを取り除く手段は何もありませんでした。

当時、FeliAIMが実用化されていたら次男猫の経過は変わっていたかもしれない。もちろん、それは今となっては分からないことですが、そう思わずにはいられませんし、慢性腎臓病で愛猫を看取った方なら誰しもそう思うでしょう。
今、我が家にいる姫ちゃんはまだ6歳で、今んとこは腎臓病とは無縁…でも、猫は生まれつき腎臓が弱点です。だからこそ、猫の腎臓病に関連するアイテムや医薬品の動向はこれからも追いかけていくつもりです。
まとめ
- AIM:タンパク質そのものの名前。腎臓のゴミ掃除役。
- AIM30(総合栄養食):AIMを活性化させるアミノ酸(A-30)を配合した市販のキャットフード。AIMそのものは入っていない。効果は未証明。
- AIM vet’s(療法食):宮﨑先生監修のもと、シグニが動物病院向けに販売する腎臓療法食。腎臓病の猫向けに低リン・低タンパク設計。
- FeliAIM(医薬品):AIMタンパク質を直接投与する医薬品。現在治験中、発売に向けて進行中。
混同しやすい4つですが、それぞれの立ち位置を知っておくことで、情報を正しく判断できるようになると思います。続報があれば随時更新していきます。
(この記事は2026年3月時点の情報をもとに書いています。治験・承認の状況は変わることがあるため、最新情報はIAM CATの公式サイトをご確認ください)



コメント